契約書には契約期間を入れることがある。どのような場合に入れる必要があるのか、またどのように定めればいいのか。
ポイントをまとめた。
1.継続的な契約の場合には契約期間を定める
契約期間を契約に入れるのは、賃貸借といった継続的な契約の場合だ。売買等の単発の契約に入れない。但し、単発の契約であっても、その単発の取引を長期間する前提で締結する取引基本契約には、契約期間を入れる。
2.契約期間と中途解約条項
契約期間が長いほど、お互いを拘束する程度が強くなる。
しかし、契約書には、中途解約条項を入れて、例えば3か月前の通知により契約を解約できるといれることがある。この場合は、たとえ契約期間が長くても、通知すれば簡単に解約できるため、拘束する力が弱くなるということになる。つまり、中途解約条項を入れると、契約期間は効力がかなり弱まる。
拘束力が強いのがよいのか、弱い方がよいのかは、契約の対象物の需給関係や相手との将来の関係を見極めて判断する必要がある。
例えば、相手の信用度が低い場合には、まずは短期間契約をする、という判断もある。商品の売り手であれば、通常は商品販売ルートを確保する意味で契約期間を長くして中途解約をできないようにすることがあり得る。
逆に、買い手であれば、選択権を確保する意味で契約期間を短くし、中途解約も可能とする方が一般的には有利になる(例外的に、希少価値のあるものを購入する場合には、契約期間を長くすしたほうがよい)。
3.自動更新条項
継続的な契約は、何らかの事情がない限り取引は継続されるのが通常だが、その都度契約を締結していると手間なので、自動更新条項を入れるのが通常だ。
例えば、3か月前に相手方から書面による通知にて異議がない限り、同じ条件で契約が1年更新されるという内容を定める。
4.覚書の有効期間
例えば、建物の賃貸借契約で、月額20万円で契約していたのを、覚書で月額18万円に変更したとして、その覚書には有効期間を入れる必要はあるだろうか。
これは、その必要はなく、賃料を変更する時期だけ明記すればよい。覚書に有効期間が定められてると、有効期間満了により賃料が元に戻るのか、不明確になるという問題が生じる。
5.まとめ
契約期間は継続的な取引の場合に定める。契約の拘束力を強くするか、弱くするかはビジネスの背景事情を考慮して慎重に定める必要がある。契約条件を変更する書面には、契約期間を延長する場合でもなければ、有効期間を定める必要がないことも注意しよう。