契約書には、冒頭にタイトル(表題)が記載される。例えば、「売買契約書」「業務委託契約書」「覚書」といった内容だ。この内容は、契約書に記載された主要な内容を示すこととなる。
では、この契約書のタイトルは、どのように決めればよいのだろうか。
1.タイトルの内容
契約書のタイトルは、売買であれば「売買契約書」、業務を委託する契約書であれば「業務委託契約書」というように、タイトルをつける。タイトルは、契約の内容を端的に示すものにするべきだ。それだけではどのような契約かよく分からないタイトルだと、管理面でも不都合が生じるほか、契約の効果にも影響を及ぼす可能性がある。
「覚書」は、「おぼえがき」と読むが、メモという意味だ。「覚書」は、契約書に付随する書面によく使われる。例えば、契約書に「引き渡し場所は別途甲乙間で締結する覚書にて定める」と記載し、覚書にて引き渡し場所を定める使い方がされる。
売買契約を継続的に締結する場合には、個別の取引に適用される基本となる契約書を別途締結することが多い。その契約は「売買基本契約書」「取引基本契約」というように、「基本」を付ける。
「確認書」は何かを確認するときに締結する。
2.重要なのは契約書の内容
契約書のタイトルは実体と合わせるべきだが、そうでない場合もよくある。
極端に言えば、契約書のタイトルに「賃貸借契約」と書かれていたとしても、内容が全く別の、売買の内容が定められていた場合、特段の事情がない限り、売買の合意があったと認定される。また、重要な事項が契約の条項の一つに定められることもよくある。タイトルの内容に惑わされず、契約書の内容をしっかりと確認するようにすべきだ。
3.一方が差し入れる書面
契約書は、双方が署名・記名押印して作成するが、片方が署名・記名押印するタイプもある。その場合は、契約書ではなく、「念書」「差入書」「誓約書」といったタイトルが付けられる。
このような書面が取り交わされる理由として、通常の契約は双方が義務を負うのに対し、片方が義務を負う場合には、義務を負う当事者だけが書面を出せば証拠として十分だからだ。
義務を負う一方の当事者にとって、権利を有している当事者に対して署名・記名押印させて何らかの義務を負わせる必要がないため、このような形になる。
4.まとめ
契約書のタイトルは内容を端的に示したものにすべきだ。契約書の種類は多種多様であるため、それに応じたものとする必要がある。