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2015.08.19

徹底比較 卸売と代理店のメリット・デメリット

商品を販売したり、サービスを提供する際には、最終ユーザーへの販路を確保するために、中間の事業者に販路の拡大を委託することがよくある。その場合、大きく分けて、2つの方法がある。

一つの方法は、中間事業者に商品の販売又はサービスの提供を行い、中間事業者が営業活動を行い最終ユーザーに商品の販売又はサービスの提供を行うというもので、卸売という販売形態だ。中間業者は販売店と呼ばれることもある。

もう一つは、中間事業者が営業活動を行い最終ユーザーに自社に対して商品購入・サービス提供の申し込みをさせ、中間事業者へは仲介手数料を払う方式で、代理店方式と呼ばれる。

どちらも、営業活動を他社に委託する効果ある点では共通するが、価格設定やアフターサービスの扱い等、違いも多くある。今回は、2つの方式のどちらを選ぶべきか、そのメリット・デメリットを解説する。

厳密にいうと、「代理店」という言葉は、商法上明確に定義されておらず、一般には上記のような「仲介・媒介」の場合だけを指すとは言えないが、ここでは代理店方式とは仲介・媒介を行う方式であることを前提に説明する。

1.代金の回収リスク

通常の商取引では、商品・サービスを提供した後に代金を回収することが一般的であるため、提供先に対して信用を供与することとなる。卸売の場合と、代理店方式の場合の違いは、信用を供する相手先が異なってくるということだ。

<卸売方式>
卸売先に与信することとなる。

<代理店方式>
代理店ではなく、直接の販売先に与信することとなる。

商品・サービスの性質によって、中間事業者と最終ユーザーのどちらに信用力があるかは異なってくる。回収リスクの少ない方法を選ぶのがよい

更に、代理店方式では、代理店が不正な営業活動を行った場合、手数料を返金請求する必要が生じる可能性もあることから、代理店への与信管理もある程度行う必要がある。

与信管理については、下記ページを参考としてほしい。
与信管理の手法 契約条項の例 取引数量の増加要求 信用不安時の対応
 

2.提供する価格の設定

卸売の場合と、代理店方式の場合とで、提供する価格の設定方法も異なってくる。

<卸売方式>
売上をそのまま受け取ることができる。

<代理店方式>
売上から手数料を差し引いた金額が正味の受け取り代金となる。

卸売方式の方が、手取金額が単純に定まるといえる。
 

3.対象取引が継続的取引である場合

単発取引ではなく、例えばITサービスを継続的に提供する場合である等、継続的な取引については、特別な考慮が必要となってくる。

(1)最終ユーザーの解約時のメリット・デメリット

<卸売方式>
最終ユーザーが継続的な解約を予想よりも短い期間で解約した場合であっても、ダメージは少ない。

<代理店方式>
既に紹介手数料を支払っているため、最終ユーザーが短い期間で解約した場合のダメージは大きい。委託料の設定、支払方法をよく検証しないと利益が出ない取引となる可能性があるため、注意が必要だ。

委託料支払時期・方式(例:○ヶ月継続したら支払う、契約が継続している間のみ支払う)や解約時の返金期間設定(例:○ヶ月以内に顧客が解約したら手数料を返金する)等を検討する必要がある。

(2)継続的な手数料の支払い
継続的な取引については、それが続いている限り中間事業者にとって利益が得られるようにしておいた方が、顧客の維持の観点から有益なことが多い。

<卸売方式>
契約が続いている限り卸売業者は利益を得られるため、特に問題はない。

<代理店方式>
代理店が継続的に利益を得る形にするためには、上記でも出てきたが、契約が継続している限り代理店は手数料を得られるようにすることが考えられる。但し、獲得の対価を永続的に支払うことは税務上のリスクがあるため、中間事業者が顧客維持のために行う業務を明確にする必要がある。
 

4.最終ユーザーへの価格の設定、販売地域の設定

卸売方式か代理店方式かは、最終ユーザーへの価格の設定や販売地域の設定についても差が出る。

<卸売方式>
最終ユーザーへの販売価格の統一は、独占禁止法上禁止される「再販売価格の拘束」に当たるため、することができない。また、販売地域の設定を行うと、競争状況によっては独占禁止法に抵触し問題となる。

<代理店方式>
直接販売を行うので、再販売価格の拘束についての規制は適用されない。統一した価格を維持でき、また販売地域の設定も制限がなくなる。

代理店方式の方が、最終ユーザーとの関係を直接コントロールすることができる。

卸売方式の場合、価格設定は卸売先が判断することになるメリット・デメリットを考慮する。外部業者が高い値段で販売に成功すると、その外部業者が取引について力を入れることが期待できるため、取引が安定するという面もある。
 

5.保証・アフターサービス

<卸売方式>
最終ユーザーに保証書を交付しているといった事情のない限り、卸売先が保証・アフターサービスの責任を負う。卸売元の責任は卸売先から追及される間接的なものとなる。

<代理店方式>
代理店が責任を負うことは原則としてなく、商品提供元が全面的に保証・アフターサービスの責任を負うことになる。

代理店方式の場合、商品・サービスの内容によっては、代理店に苦情受付等の業務も合わせて委託することも有りうる。

卸売は間接的な責任に留まり、代理店方式は直接的な責任を負うという違いがある。
 

6.特定商取引法の規制

消費者への訪問販売を伴う場合には、特定商取引法による規制がある。その場合、卸売方式、代理店方式とで規制の内容が異なってくる。

<卸売方式>
卸売先が訪問販売をする際には、販売業者の社名を明示する必要がある。卸売の場合には、卸売先が販売者となる。交付書面においても卸売先の情報を記載する。卸売元は、卸売先の法令順守について直接の責任を負わない。

<代理店方式>
代理店が訪問販売をする際には、販売業者である委託元の社名を明示する必要がある。交付書面においては代理店の情報は不要であり、委託元の情報を記載する。委託元は、代理店の法令順守について直接の責任を負う。

代理店方式は、代理店の法令順守について管理する必要が出てくる。
 

7.個人情報の保護

最終ユーザーが個人であって、5,000以上の個人情報を継続的に取り扱う場合、個人情報保護法の規制がかかってくる。

<卸売方式>
特に契約上定めなければ卸売先が個人情報の管理責任を負う。卸売先の個人情報漏洩について卸売元が直接法的責任を負うことはない。

尚、卸売元も顧客情報を把握する必要がある場合も考えられる。その場合は、契約で卸売元への開示等を定めて卸売元が管理できるようにすることを定めるとともに、卸売先が情報を卸売元へ開示できるよう、個人情報保護法に定める「共同利用」ができるようにする必要がある。

<代理店方式>
紹介を受けた顧客は委託元の顧客となるので直接委託元で情報を管理する必要があり、代理店の保有する個人情報についても管理監督する義務を負う。代理店から漏洩してしまった場合は委託元の責任となる。

もともと代理店が懇意にしていた顧客についての情報であっても、委託元が責任を負い、代理店が管理監督される立場になるという点に注意が必要だ。
 

8.まとめ

卸売方式と代理店方式は、経済的には営業を委託するという点で共通しているが、違いも多くある。

重視すべきなのは、与信リスクの所在と、価格設定の点だ。

中間事業者の経済的基盤が弱い場合には、卸売方式は与信リスクがあるので、代理店方式を選ぶこととなる。

また、販売価格を統一したいのであれば、代理店方式を選ぶこととなる。自主性を重視する場合は、卸売方式がよい。
 

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