自社、A社、B社とあって、A社とB社が契約する場合、これは第三者間の契約であって、自社は契約当事者ではないため、契約上の責任を負うことはない。
しかし、A社とB社との契約の際に、何らかの言動(取引について保証をするかのようなもの)をしていた場合には、場合によっては不法行為責任として契約外の責任を負う可能性がある。
直接契約の当事者にならなくても、何らかの形で契約に関与した場合の責任について説明する。
1.問題となる典型例
このような問題が発生するのは、自社にとってその取引が何らかの利害関係を有する場合だ。例として次にようなものがる。
(1)A社が自社の代理店であって、自社の商品をA社がB社に販売する場合、販売ルートを確保するために、B社に対して、A社の信用力を過度に強調する場合
(2)自社がA社とB社に下請けに出している仕事があって、A社とB社が共同して業務を実施している場合に、A社の資金繰りが悪化し、B社の仕事に支障が生じている場合で、B社がA社に援助をしようとしている場合
このような場合、自社の担当者が過剰な言動をしてしまい、責任を負うリスクがありうる。
2.何を注意すべきか
では、どのような言動に注意すべきだろうか。
客観的な資力の状況、事業の内容についてであれば、単なる情報提供であるため問題ない。しかし、相手が資力について不安を持っているにも関わらず、それについて大丈夫だ、自分が責任をもつといった場合、場合によっては責任を負う可能性がありうる。
3.対策
例えばA社からB社との取引について(又は取引の継続について)相談を持ち掛けられた場合、客観的な情報に基づく話をするとしても、それについてどう評価するかはあくまでもA社の責任であることを明確に説明しよう。また、その内容を録音・議事録等で証拠化する。
また、上記の内容を自社内の営業担当者が守れるように徹底しておく必要がある。
4.まとめ
契約関係に入っていなければ、契約上の責任は問われないが、場合によっては不法行為責任が発生する余地がある。情報提供はするにしても、主観的な期待の表明や責任を持つというような言動は行わないように注意しよう。