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2015.07.12

グループ会社の債務での相殺による債権回収 できる場合とできない場合

債権回収にはいろいろな手段があるが、今回は、同一グループ会社の債務を利用した相殺による債権回収について説明する。

取引相手が、自社と同じグループの会社(資本関係上つながりのある会社)へ商品を販売する取引があった場合に、その債務を活用して相殺できるかどうかがポイントとなる。

1.利用できるケース

具体例で説明する。

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A社(自社)、B社(継続的な取引相手)、C社(A社と同じ資本関係にある会社)があったとして、B社はC社に対して継続的に商品を販売し、それによりC社はB社に対して売買代金を支払っているとする。
この場合、B社がA社に未払いの取引債務がある状態で、B社が破産した場合、A社とC社が同じ資本関係にあったとしても、形式的には別会社なので、A社やC社は相殺することはできず、C社はB社に対してその時点で発生している債務の全額を支払う必要がある。

(※このような場合、事後的には動産売買の先取特権による差し押さえにより相殺と同じような効果を生じさせて回収できることがあるので、必ずしもあきらめる必要はない。弁護士に相談しよう。)

このようなケースに備えて、予め何か取りうる手段はないだろうか。それは、B社のA社に対する債務をC社が保証することだ。

このようにしておけば、B社が破産した場合、A社はC社に保証債務の履行を請求することができ、C社はA社に対して支払った分についてB社に求償することができるので、C社はB社に対する債務と求償債権を相殺して、実質的にグループ会社が持つ債権債務を相殺することができる。
 

2.注意点

このような保証契約は、法律上、A社とC社のみで行うことができるが、最高裁判所の判例(平成24年5月28日)により、B社の委託のない保証については破産時に相殺が認められないこととなった。B社が関与しない保証は保護すべき必要性が低いためだ。

従って、保証契約を締結する際には、B社を契約当事者に入れたうえで、C社の保証がB社の委託に基づく旨を明記する必要がある。
 

3.保証以外の方法

(1)AC間の契約により、A社のB社に対する債権をC社に譲渡する方法

このような債権譲渡をすると、C社は債権と債務を両方持つことになるので、相殺することができるのが原則だ。しかし、上記の最高裁の判例からすると、B社が関与しない方法による相殺は認められない可能性があり、あまりお勧めできる方法ではない。

(2)AB間の契約により、B社のC社に対する債権をA社に担保として譲渡する方法

このような債権譲渡をすると、今度はA社がC社に対して直接請求することができるので、相殺と同じような効果を得ることができる。

B社のC社に対する債権は、単発の取引上の債権を譲渡する方法も考えられるが、取引が完了すると効果がなくなるため、将来発生する債権も含めて包括的に譲渡することが考えられる。この場合、債権の特定性が問題となるため、債権の原因や期間について特定する必要がある。

また、法律上、第三者対抗要件が必要となるので、B社がC社に対して内容証明郵便で譲渡を通知するか、C社がする譲渡の承諾書について公証人役場にて確定日付を得る必要がある。

支払い関係については、完全に譲渡してしまうと、C社はA社に対して支払うことになるが、B社に債務不履行が生じていないと、代金の支払い関係が複雑となってしまう。通常のケースであれば、あくまでも担保として譲渡し、三者間の取り決めにより、B社がA社に対して債務不履行がない限り、C社の代金はB社が受け取る代理受領の定めを置くことが通常だ。

(3)商流の変更

可能であれば、A社はいったんC社に販売し、C社からB社に販売する形にする。そうれば、同じ当事者となるので、上記のような複雑なことをしなくても、問題なく相殺が可能となる。
 

4.まとめ

グループ会社の債務を利用した相殺については、原則としてすることはできない。相殺できるようにするためには、債務保証や債権譲渡、商流の変更といった方法がある。
 

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