業務委託には、保守・運送を委託したり、営業業務を委託するものから、建築設計を委託するものまで、多種多様なものがある。
契約書を作成するにあたり、どのようなことに気を付けるべきであろうか。ポイントをまとめた。
1.委託する業務の内容を明確にする
物品の売買は、目的物が実物であるため、対象を明確にしやすい。例えば、パソコンの場合であれば、売買の対象物にキーボードが含まれるかどうかは、実際に見て確認できる。しかし、請負契約の場合には、何が業務であるか、曖昧になりやすい。
営業業務を委託する場合には、自社でやる部分と業務委託先が行う部分の範囲は曖昧になりやすいし、事務作業を委託する場合には、イレギュラーな事項が生じた場合に、どのような対応とするか明確にならないことが多い。
そこで、業務の委託の場合、何が業務の対象となるか、可能な限り明確に記載すべきだ。不明確な状態だと、お互いの業務範囲を巡ってトラブルになるリスクが残る。発注者が期待した仕事を受注者側が拒否する可能性はできる限り排除すべきだ。
2.委託する業務の詳細が決まらない場合の対応
業務委託のための契約をする時点で、仕事内容と代金額は明確に定めることが原則だ。仕事内容が決まっていないと、仕事の範囲を巡って争いになる可能性があるし、代金額が決まっていない場合も同様だ。
ただ、委託する業務の仕様の詳細について、契約締結時点で詰めることが困難で、契約締結後に決まってくる性質の仕事もある。IT系の開発の仕事であれば、要件定義が固まらないと、作業内容が固まらない。
そのような場合には、仕様の確定までの部分と、それ以降の部分で、契約の代金を分離し、後半の契約は前半の契約が終わった後に結ぶか、一緒に契約をするとしても、仕様の変更により売買代金が増減する場合の基準を明確にすることが重要だ。
3.仕事の責任を明確にする
業務委託の場合、仕事を完成して初めて代金が支払われるのか(請負型)、それとも最大限の努力を尽くしただけで、成果はなくても代金が支払われるのか(委任型)、明確にすべきだ。
運送契約であれば、運ぶことによって対価が支払われるので請負型だ。
一方、コンサルティング契約では、一定の助言をすることが目的の場合には、それによって成果が出なかったとしても、代金が支払われるのが通常で、このような場合には、委任型の契約を締結することになる。
仕事を完成する義務を受託者が負っているかどうか、契約書に明確に定めるべきだ。
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単に仕事をしただけでは報酬がもらえない?請負契約と委任契約
4.まとめ
業務委託は契約対象が不明確になりがちなため、委託する業務の範囲を明確にしよう。委託する業務の範囲の詳細が決まらないうちは、契約金額を固定化しない方がよい。また、仕事の完成が必要な場合には、その範囲を明確にする必要がある。