買ったのであれば、代金を支払い、売ったのであれば、代金を受け取る。しかし、売買の対象物の引き渡しは、必ずしも代金の支払いと同時に行われるわけではない。
同時でない場合の有利不利はどうなるのか。
1.代金を支払う立場の場合
こちらが代金を支払う立場の場合、商品・サービスの提供を受けてから支払った方が有利だ。商品が引き渡されなかったり、サービスが履行されなかった場合、場合に支払いを拒めるというメリットがあるからだ。
これに対し、先に代金を支払ってしまうと、その後に万一相手が経済的に破綻してしまった場合、その代金を請求できないおそれがある。代金を先に支払う場合には、相手の資金力を見極める必要が出てくる。
また、代金を支払っていなければ、商品やサービスに問題があった場合、事実上、強気な交渉ができる可能性もある。
通常の取引では、このように代金を後払いにするのが通常だ。
2.代金を受け取る立場の場合
こちらが代金を受け取る立場の場合、今度は逆に、先に受け取ったほうが有利となる。このような取引は、一般に現金取引と呼ばれる。
相手が経済的に破綻したとしてもすでに代金を受け取っているため、安心できる。また、キャッシュフロー上も、先に資金を得た方が有利で、資金繰りがしやすくなるメリットがある。
しかし、現金取引は通常取られることは少なく、実際上は、先払いを要求するのは困難な場合も多い。
3.まとめ
代金を支払う立場、受け取る立場、どちらの立場でも、取引相手に先に契約を履行させることは有利に働くことを認識して契約条項を定めよう。