契約書に対価として金額を記載する際に、その金額について消費税を抜いた金額とするか、消費税込みの金額とするか、どちらにすべきかという問題がある。
今後の消費税の増税についてはどのように対応すべきであろうか。
1.契約の対価に消費税を記載しない場合の問題とは
契約書に単に金額を入れた場合、その取引が消費税の発生する取引であれば、税込の金額か税抜の金額か分からなくなってしまう。
税抜きだと思って買い手に消費税を別途請求したら、相手が税込だと主張してきた場合、契約書には税抜きであるとの記載がない以上、税抜きで契約をしたとの立証は困難となる可能性がある。消費税が課税される取引は、売買代金をベースに、売り上げた側が課税仕入として納税するもので、別途請求することが当然に認められるものではないからだ。
今までの取引が税抜きで記載されていて税込の金額を請求し相手が支払っていた等の背景事情があれば有力な証拠となるが、こうした事態はできれば避けたい。税込か税抜きかについては明確に記載しよう。
また、印紙税の節税の観点から、税込の金額を記載する場合には、消費税額を記載した方が有利な場合がある。
2.消費税の増税について
消費税の増税が今後予定されている。賃貸借契約や継続的な業務委託契約等の長期的な契約で、対価を契約書に定める場合には、トラブル防止の観点から、消費税増税後の対価も明らかになるようにしよう。
一般的には、税抜きの金額で合意しておけば、増税後は増税後の金額であると認定される可能性が高いと思われるが、消費税の増税があった場合には対価を調整する旨の条項があったほうが確実だ。
3.まとめ
契約書に記載する対価には、消費税が含まれているかいないかを明確に記載しよう。また、消費税増税後の対価についても明確にすべきだ。